吉田会計ブログ > 遺留分に関する民法の特例~合意の効力の消滅~
遺留分の算定に関する合意が効力を生じても、その効力は次のような場合失われることとなります。
(1)円滑化法10条が定める消滅原因
・経済産業大臣の確認の取消
・先代経営者の生前に後継者の死亡等
・合意の当事者以外の者が新たに先代経営者の推定相続人となった場合
・合意の当事者の代襲者が先代経営者の養子となった場合
(2)その他の消滅原因
・推定相続人全員の合意による解除
・非後継者の取りうる措置としての解除権の行使
・錯誤、詐欺
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相続が開始した場合,相続人は次の三つのうちのいずれかを選択できます。
1. 相続人が被相続人(亡くなった人)の土地の所有権等の権利や借金等の義務をすべて受け継ぐ単純承認
2. 相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がない相続放棄
3. 被相続人の債務がどの程度あるか不明であり,財産が残る可能性もある場合等に,相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐ限定承認
相続人が,2の相続放棄又は3の限定承認をするには,家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません。ここでは,2の相続放棄について説明します。
<申述人>
• 相続人(相続人が未成年者または成年被後見人である場合には,その法定代理人が代理して申述します。)
未成年者と法定代理人が共同相続人であって未成年者のみが申述するとき(法定代理人が先に申述している場合を除く。)又は複数の未成年者の法定代理人が一部の未成年者を代理して申述するときには,当該未成年者について特別代理人の選任が必要です。
<申述期間>
申述は,民法により自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内にしなければならないと定められています。
このように、相続放棄は意外と期間が短いです。
また、相続財産がプラスの場合で、財産を相続したくない場合は、相続放棄をしなくても、遺産分割協議書で相続財産をなしにすれば、それでOKです。
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上場株を譲渡して損が出た場合、平成21年分から、一定の要件のもと、上場株の譲渡損失と上場株の配当所得との損益通算ができるようになりました。
また、損益通算しても控除しきれない譲渡損失については、翌年以後3年内の各年分の株式譲渡所得の金額及び上場株の配当から繰越控除ができます。
その場合、確定申告書にこの規定の適用を受けようとする旨の記載があり、かつ、明細書等の添付がある場合に限り適用できます。
ですので、申告不要の特定口座を利用されている場合でも、確定申告が必要となります。
譲渡損が出た方は、この特例規定を利用してみては。
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いよいよ確定申告の時期となりました。
申告をして、税金を取り戻せる時期でもあります。
中でも医療費控除、住宅ローン控除は、もっともポピュラーなものでしょう。
医療費控除は、年間で10万円を超える医療費がかかったか否かが一つの目安になります。
また、住宅ローン控除は、新築だけでなく中古物件の取得、あるいは増改築の場合も耐震、バリやフリー、省エネなどが対象となってきます。
これらの控除を受けるためには、領収書、売買契約書、住民票、登記事項証明書等事前に準備しなければならない書類が結構たくさんあります。
これらの資料集めがまず申告のための準備として最初にやらなければならないこととなります。
申告期限から逆算してできるだけ早いうちにこれらの書類の準備から始めてみてはいかがでしょうか。
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自社株について、固定合意を行った場合、自社株の遺留分算定の基礎財産への算入価額は、合意時の時価によることとなります。
よって、例えば自社株の評価額が、固定合意時において5000万円であった場合、固定合意後評価額が増加し、1億円となった場合は固定合意により遺留分算定の基礎財産の価額は、合意時の5000万円で計算されるため遺留分は圧縮されたこととなります。
しかし、自社株の評価額が、固定合意時において5000万円であったものが、その後評価額が下がり3000万円になってしまったような場合は、固定合意により遺留分算定の基礎財産の価額は、合意時の5000万円で計算されるため固定合意によりかえって遺留分が増大するというリスクがあることに注意が必要となります。
会社の将来の業績は、なかなか予測が難しい今、良かれと思ってやったことが裏目に出る危険性も十分あることに対策の難しさがあります。
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農地の相続等の届出制度の創設について
これまで農地又は採草放牧地(以下「農地等」という。)の相続等による農地法の許可を必要としない権利取得については、市町村農業委員会が権利取得者を把握することが困難であり、その農地等が権利取得者によって適正に利用されない場合における貸借のあっせん等の適切な指導がしにくい状況にありました。
このため、平成21年12月に施行される予定の「農地法等の一部を改正する法律(平成21年法律第57号)」において、相続等による農地法の許可を必要としない農地等の権利取得者は、農業委員会にその旨を届け出てもらうことになりました。
この届出制度は、農地等の適正かつ効率的な利用を図るため新たに措置されたものです。
なお、この届出をしなかった場合には、ペナルティ(10万円以下の罰金)もあります。農地を相続したけれども、農業以外の仕事に就いている相続人は特に注意が必要となります。
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22年度税制改正により、相続税関係では小規模宅地等のについて以下の改正がありました。
小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、
相続人等による事業又は居住の継続への配慮という制度趣旨等を踏
まえ、次の見直しを行います。
イ 相続人等が相続税の申告期限まで事業又は居住を継続しない宅地
等(現行200 ㎡まで50%減額)を適用対象から除外します。
ロ 一の宅地等について共同相続があった場合には、取得した者ごと
に適用要件を判定します。
ハ 一棟の建物の敷地の用に供されていた宅地等のうちに特定居住用
宅地等の要件に該当する部分とそれ以外の部分がある場合には、部
分ごとに按分して軽減割合を計算します。
ニ 特定居住用宅地等は、主として居住の用に供されていた一の宅地
等に限られることを明確化します。
(注)上記の改正は、平成22 年4月1日以後の相続又は遺贈により取
得する小規模宅地等に係る相続税について適用します。
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民法特例の適用を受けるためには、先代経営者の推定相続人全員が書面により除外合意又は固定合意のどちらか(併用も可)の合意をすることが必要になります。
除外合意とは、対象自社株に価額を遺留分算定の基礎に算入しない旨の合意を言います。
一方、固定合意とは、対象自社株の遺留分算定の基礎財産への算入価額を合意時の時価に固定する旨の合意を言います。但し、合意時の時価については、税理士等による「相当な価額」の証明が必要となります。
よって、いずれの場合も自社株の評価が将来において増加する場合にはそれぞれ一定の
効果があります。
しかし、自社株が将来下がった場合には、固定合意の場合合意時の時価が基礎財産に算入されるため固定合意をしたことが裏目に出る場合があることに注意が必要となります。
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遺留分に関する民法の特例は、その適用を受けるため対象会社、先代経営者及び後継者についてそれぞれ要件が設けられています。
(1)対象会社は、遺留分に関する合意をする時点で、次の要件を全て満たす者(会社)でなければなりません。(経営承継円滑化法3条1項、規則2条)
①中小企業者であること(経営承継円滑化法2条)
業種ごとに資本金又は従業員の数に一定の制限が設けられています。
②3年以上事業を承継していること
③非上場会社
(2)先代経営者は、遺留分に関する合意をする時点で、次の要件を全て満たす者でなければなりません。(同法3条2項)
①対象会社の旧代表者又は現経営者
②自社株(完全無議決権株を除く)を自分の推定相続人(兄弟姉妹及びその子を除く)に贈与したことがある者
(3)後継者は、遺留分に関する合意をする時点で、次の要件を全て満たす者でなければなりません。(同法3条3項)
①先代経営者の推定相続人であること。
②自社株を先代経営者から贈与を受けた者又はその者から相続、遺贈、贈与により取得した者であること
③対象会社の総株式(完全無議決権株を除く)の議決権の過半数を保有していること。
④対象会社の代表者である者
このように各3者について要件のあてはめが必要となります。
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前回、遺留分の事前放棄(民法1043条)による対応策の限界について書きました。それでは、これらの問題点を解消するにはどうすればよいのでしょうか?
経営承継円滑化法は、遺留分減殺請求による自社株の分散や後継者の経営意欲の低下を防止し、非後継者の手続き負担を軽減するために以下のように民法の特例を創設しました。
(1)後継者が取得した自社株式などについての遺留分に関して次2つの合意が可能となりました。(円滑化法4条1項)
①遺留分算定の基礎財産から除外すること(除外合意)
②遺留分算定の基礎財産に算入する価額を合意時の時価に固定すること(固定合意)
(2)必要な手続きは、後継者が行うこととなりました。
①経済産業大臣の確認申請(円滑化法7条)
②家庭裁判所の許可申立て(同法8条)
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