吉田会計ブログ > 遺留分の事前放棄(民法1043条)
事業承継における遺留分の問題については、経営承継円滑化法の民法の特例によらず、従来の制度を利用した対応策も考えられます。
従来の制度とは、民法1043条の遺留分の事前放棄です。
これは、放棄をする者が、各自で家庭裁判所の許可を受ける必要があります。
つまり、非後継者に放棄の手続きをとってもらうということで、非後継者にとってはあまりメリットのないものであるため、実際にはほとんど利用されていないというのが現実ではないかと思われます。
また、非後継者が各自で申し立てるため、非後継者が複数人いた場合、結果が非後継者ごとに異なったりする点や、特定の財産(自社株式)について遺留分を放棄するかしないかの選択であるため、例えば財産価格の一部についての放棄は不可能であったりします。
さらに、すでに後継者が会社に入り辣腕をふるい株式評価額を高めた場合、全く会社経営にタッチしていない非後継者が遺留分を主張できるのでは、後継者の会社経営に対するモチベーションの点からも問題がある場合があるでしょう。
このように、従来制度による対応には限界があることを認識しておく必要があるでしょう。
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中小企業庁が、行ったアンケートによると中小企業経営者の個人資産に占める事業用資産の割合は、事業用不動産が30.7%、自社株式が30.6%、その他事業用資産が6.8%と事業用資産が個人資産に占める割合が2/3強を占めている。
円滑な事業承継を実現するためには、後継者に事業用資産を集中させることが重要となりますが、民法では後継者1人に遺産を集中させると、遺留分による制約を受けることとなります。
具体的には、現社長に3人の子供(A(後継者として指名)、B、C)がいたとすれば、後継者であるAに事業用資産を集中して相続させたくても、B及びCが各々1/6ずつ遺留分をもつため、Aに対して無制限に遺産を集中させることができないという問題があるのです。
この問題に対応するため、中小企業経営承継円滑化法で「民法の特例」が規定されることとなったのです。
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総務庁「事業所・企業統計調査」によれば、中小企業数(会社数+個人事業者数)は、約432.6万社です。全企業数に占める割合は99.7%です。
また、雇用の70%を中小企業が占めます。
しかし、年間約7万社は「後継者がいない」ことを理由とする廃業と推定され、これだけの雇用が完全に喪失された場合を仮定すると、失われた従業員の雇用は毎年約20万人から35万人以上にのぼると推定されています。
このような状況下で、事業承継の円滑化は、日本全体の7割を占める中小企業の雇用を確保するとともに、会社の「暖簾」を守ることを通して優れた技術・技能を伝承し、それを後世にわたって磨き高めていくことで、国家や社会を支える資産の損失を防ぐという重要な取組みなのです。
では、具体的にどのような取り組みが行われているのでしょうか。
中小企業の経営承継を円滑化するために3本の柱として、中小企業経営承継円滑化法で「民法の特例」と「金融支援」が規定され、そして「事業承継税制」が設けらました。
「民法の特例」と「金融支援」は、中小企業経営承継円滑化法で規定されています。一方、「事業承継税制」は租税特別措置法で規定されています。よって、「民法の特例」と「金融支援」が受けられる中小企業でも、「事業承継税制」が受けられるとは限りません。
次回、これらを順番に紹介していきたいと思います。
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遺言には、一般的に自筆証書遺言と公正証書遺言があります。
それぞれ、メッリトとデメリットがありますが、相続実務上公正証書遺言を選択することをお勧めします。
公正証書遺言のメリットとして、①公証人関与で方式不備を回避できること②原本が公証人役場で保存されるため変造、滅失のおそれがないことなどがあげられます。
デメリットとしては、①作成に手間と費用がかかる。②証人から秘密が漏れる危険性があるなどです。
これに対して、自筆証書遺言はメリットとして①一人で簡単に作成できる②遺言の存在及びその内容を秘密にできる③費用がかからない。
デメリットとして、①遺言書の紛失、相続人、他人による偽造、変造、隠匿の危険性がある。②方式不備、内容不備の危険性がある。
以上、自筆証書遺言は公正証書遺言に対して自分の意思を相続人に正確に伝えることができない可能性があるところが一番のリスクかと思います。
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景気が冷え込んでいる現在、オーナー社長は、社長個人から会社への貸付けが増加することがあるだろう。
しかし、会社の業績、資金繰り悪いからといって社長個人からの貸付けを足りないからという理由だけで増やしていると、会社への貸付金額が億単位になってるというようなこともありうる。
さて、この貸付金、会社が社長に返済しないうちに社長が亡くなれば、もちろん相続財産となる。
そして、相続税の課税対象となるのである。
しかし、問題はこの貸付金、名目だけでお金の裏付けがないということである。
会社が、業績回復してその貸付金を即時に返済できればよいが、たいていは返済する余力がなく、貸付金という名前だけの財産があるということであり、相続税の担税力はない場合が想定される。
このような場合、どうすればよいか。
生前に債権放棄をしておくことが必要となる。
しかし、債権放棄をすると、会社側では債務免除益が発生するため、繰越欠損の枠内か否かといったことも考えなければならなくなるのだが…
いずれにしろ、会社への貸付金はその金額の推移を常に意識している必要があるだろう。
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スムーズな事業承継のためには、自社株の評価額が大きく下がった時に生前贈与することも大きな意味を持つ。
類似業種比準方式を使うときは、上場株の類似業種の株価に連動するため、経済状況を見ながら贈与のタイミングを見定めることも重要となる。
また、類似業種比準カ価格は、配当金、利益、純資産の3つをその評価要素とするが、利益は他の配当および純資産の3倍のウエイトを占めるため、利益が多く出ている年とそうでない年とで大きく差が開くことも考慮に入れたいところである。
そして、新事業承継税制も整備されてきており、その選択肢は増えているが、いづれにしろ事前の計画性のあるなしが大きな差となって現れることは間違いない。
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通常、財産といえば、プラスの財産を想像するだろう。
しかし、財産はプラスの財産ばかりではない。
マイナスの財産、つまり借金も含まれる。
だから、財産を相続する時は、プラスの財産ばかりでなく、借金などの債務も一緒に相続することとなる。
このような場合、はたして相続すること自体したくないということになるだろう。
そのような時、どうすればよいか?
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法律上の婚姻関係にない夫婦の子(非嫡出子)の相続分を、嫡出子の半分と定めた民法の規定が違憲かどうかが争われた特別抗告審で、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)は3日までに、合憲と判断し、非嫡出子側の特別抗告を棄却する決定をした。
決定は4裁判官中3人の多数意見。「規定は合理的根拠がある」とした過去の判例を引用し、違憲の主張を退けた。
反対意見を出した今井功裁判官は「自らの意思と努力によってどうすることもできない事柄。差別は違憲」と指摘。合憲とした竹内行夫裁判官も「今回の相続が発生した2000年当時と異なり、現時点では違憲の疑いが極めて強い」と補足意見を述べ、国会に法改正を強く促した。(03日 16:00)
非嫡出子とは、法律上の婚姻関係がない男女の間に生まれた子どものことをいいます。嫡出でない子(非嫡出子)は、その父または母が認知することができます(民法779)。
なお、認知されていれば、相続権がありますが、法定相続分は嫡出子の半分となるのです(民法900)。しかし、認知がない場合は、相続人になる資格がないため、相続権は認められません。
従来、認知があって相続権が認められても、、相続分は嫡出子の半分となっていましたが、これからは変わってくるかも知れません。
しかし、こうやってみると婚姻届の重要性って大きいですよねぇ。
とくに資産家の方の子供にとっては、本当重要です。
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「遺産相続」という映画を観ました。
中小企業の社長が亡くなって、遺産相続が発生したらどうなるか…
中小企業の社長さんは、見ても損はないと思います。
笑える部分、なかなか考えさせられる部分…
しかし、いずれはリアルに事業承継を考えなければならない時期がどの会社も必ず来るかと思います。
その時に、あわてないために一つの例として参考になるかと思います。
あらすじは、次の通りです。
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9月17日、国土交通省が基準地価(7月1日時点)を発表しました。
土地は、一物四価と言われ、いろいろなところが価格を公表します。
これが、他の物品販売と比べてわかりずらいところだと思います。
一物四価とは、土地の価格が4種類あることを示す言葉。一般には時価(実勢価格)、公示価格、相続税評価額、固定資産税評価額の4つを指します。
地価には、上記の四価のほかにも、路線価、基準地価などいろいろあることから、一物多価とも呼ばれます。土地の価格が一つではないのは、国や自治体、売主・買主が、それぞれ違った尺度で価値を判定しているため。不動産取引時に直接関係するのはもちろん実勢価格ですが、その他の地価も固定資産税や相続税といった税金の額に密接に関わってきます。
基準地価は、根拠となる法律が国土利用計画法施行令 (昭和49年政令第387号) (公示地価は 「地価公示法」 ) であること、調査の主体が都道府県 (公示地価は国) であることなどが公示地価と異なっています。「都道府県地価調査」とは、国土利用計画法による土地取引の規制を適正かつ円滑に実施するため、国土利用計画法施行令第9条に基づき、都道府県知事が毎年1回、各都道府県の基準地(平成21年は全国23,024地点)について不動産鑑定士の鑑定評価を求め、これを審査、調整し、一定の基準日(7月1日)における正常価格を公表するものです。
これは、国が行う地価公示(毎年1月1日時点)とあわせて一般の土地取引の指標ともなっています。
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