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相続と成年後見人

成年後見人制度をご存知でしょうか?
自分で判断することが出来ない人(意思能力のない人)の為の制度として、平成12年より始まっています。
具体的には、認知症・知的障害・精神障害などで、
①判断能力がほとんどない状態の人
②判断能力が著しく不十分な人
③判断能力が不十分ではあるが、①②より軽度の状態にある人
このような人に①には成年後見人、②には保佐人、③には補助人をそれぞれ家庭裁判所に選任してもらうのです。
通常、相続財産の遺産分割は、法定相続人全員が参加しての協議で決めますが、この法定相続人の中に、自分で判断することが出来ない人がいる場合、上記のように選任してもらう必要があります。
その上で遺産分割の協議に参加してもらう訳ですが、実際に家庭裁判所に申立てをしてから選任の審判が下りるのに3ヶ月から半年かかるのだそうです。
となると、相続税が課税されそうなケースでは、申告期限までにそう時間的余裕がないことになります。
また、実際誰に頼むのかで頭を悩ますケースもあります。
身内の人でもなれるのですが、基本的に本人と法律上の利害関係のない人である必要があります。
例えば、遺産分割協議に参加する兄弟が成年後見人になると、利益相反行為になるので、遺産分割協議を行う為に、更に特別代理人を選任してもらわなければなりません。
ただ、身内の中に成年後見人等になる人がいない場合は、家庭裁判所が指名する司法書士、弁護士が選任されることになります。
相続発生後のドタバタの中では、これらに対処するのは極めて困難になると思われます。
専門家にあらかじめ相談することをお勧めします。

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相続した土地売却の確定申告 

前回に続いて、今回は不動産を売却した場合の所得税の確定申告について簡単に紹介します。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、「自己の居住用財産」を売却した場合、税金の計算をするのに(特例の適用)を受けることが出来ます。現行では、最高3千万円まで(特別控除)があるので、税金に関しては「優遇」されています。
ということなので、ここで紹介するケースは「自己の居住用以外」の場合にしたいと思います。
まず、譲渡所得の算式ですが
譲渡価格(収入金額)-{取得費+譲渡費用}-特別控除額=課税所得金額
となります。
基本的には「上記の算式」に当てはめれば良いのですが、相続した不動産の場合一番特殊なのは「取得費」の計算です。
相続で取得した場合、その不動産の実際の購入金額が分からない場合が多くあります。(先祖伝来の土地等)この場合、売却金額の5%を取得費とすることになります。
また、売却が相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年以内の場合、その取得費に『売却した資産に対応した相続税』を加算することが出来ます。
譲渡費用については、仲介手数料、測量費、売買契約書に貼る印紙代など、直接売却の為に要した費用が含まれます。なお固定資産税など維持管理に要した費用は含まれません。
課税所得金額が算出できたら、税額の計算です。
売却した土地の所有していた年数で「長期譲渡所得」「短期譲渡所得」のいずれかに分類し、長期=15%、短期=30%の税率を課税所得金額に乗じます。所有の年数は、売却した年の1月1日において所有期間が5年を超えれば長期、それ以外は短期に分類します。
と、かなり簡素に書いたつもりですが、このほかにもケースによって要件が異なることもありますので、税理士等専門家に任せるのがベターかと思います。
ちなみに取得費、譲渡費用は、領収書の控等「証拠書類」の添付が必ず必要になりますので保存をしておいてください。

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不動産 保有しておくべきか否か

朝晩めっきり寒く、冬の到来がすぐそこまでという時期になってきました。
全国的に土地の価格が更に下落しているようです。
自宅以外の土地を保有している方もいらっしゃると思いますが、どのように管理されているでしょうか?
①相続で取得したもの
②子供が独立した場合の住まいのため取得
③貸付けて不動産所得を得る為に取得
その方によって様々な保有の事情があるかと思います。
③の場合は既に活用していると思いますが、②などは親の思惑通りにならず将来的にも使用する予定がないケースが案外多いのでは。
また①の場合も運用するなどは面倒なので、そのまま手付かずというケースもあると思います。
この①や②の土地は、固定資産税を払い続けるだけの「遊休不動産」です。
税負担をなくす為にも売却したいところですが、②の土地は地価が下落している為に「売却損」となる公算大です。価格がもっと下がるのか、回復するのか、経済が不安定な今、非常に悩む問題です。
この問題は株式を保有している場合にも当てはまりますが、違うのは「固定資産税」の支払があることです。あれこれ考えている間も維持費はかかってしまうという、厄介な代物です。
また、いざ売却しようと決断しても、素人にはそう簡単に手続きが出来ないこともネックとなります。
多くの場合不動産業者を通じて行うことになりますが、間に入る人が多ければそれだけ費用もかかります。更にそもそも売れるかどうかも怪しい経済情勢です。
そしていよいよ売却が決まっても、その後は「確定申告」が待っています。
不動産譲渡(売却)の確定申告については、少し複雑ですので次回パターン別に紹介したいと思います。

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資産形成・運用について

資産形成・運用というと、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?
株、投資信託等様々な金融商品が最初にくるのでは?
実際、昨年あたりまでは金融商品で財を成した方々の「成功体験本」が書店を賑わせていましたし、政府も投資家への税金の優遇政策を勧めてきたので、運用を始めている方も多いと思います。
が、この経済不況です。一時話題となったデイトレーダーや、退職金を原資に老後資金を増やそうとしたリタイヤ組は、その後どうなったのでしょう?
また皆さんも大きな損失を出してはいないでしょうか?
当面の生活資金を預貯金等で確保した上で、金融商品を運用するのであれば、たとえ損失を出してもすぐに生活に窮することはない筈です。また、そうでなければ金融投資をするべきではないのです。
名の知れた金融機関の商品であっても「自分だけが儲けられる」などと考えてはいけません。
株式などは長期保有して、初めて利益を得られるのです。
「まだ広く一般に販売してないんです」と、超高利回りの商品に多額の資金を投資するなどもってのほかです。
本当に儲かる話を「早々他人に教えるわけはありません」
また、会社の給料だけでは当面の生活資金の確保が出来ないからと、金融商品の運用に手間隙をかけるのも得策ではありません。そのことで仕事に支障が出て逆に給料が下がるなんてことにもつながります。まずは仕事で収入を増やすにはどうしたらよいか?を、たとえサラリーマンであったとしても常に考えるべきです。そしてその為に「自分に投資する」ことの方が重要ではないでしょうか。

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相続放棄について

前回「保証人、安易になっていませんか」で「相続放棄」について触れましたので、少しご説明を。
被相続人が遺したものがいわゆる「財産」ばかりであればいいんですが、事業をしていたりすると「負の遺産」=借金も相当ある場合があります。
ここで、
『財産<借金』が明白であって、相続人が事業を引き継ぐつもりがなければ「相続放棄」という手続きをしてその債務を回避することが出来ます。
手続きは『相続が開始したことを知ってから3ヶ月以内』にすることとなっています。
被相続人が事業をしていた場合等はその「負の遺産」を相続人が把握することは容易ですので、充分検討する時間的余裕があります。
では、亡くなってから初めて、被相続人に多額の借金があることを知り、それが3ヶ月を過ぎてからだった場合どうなるか?
例外的に相続放棄の期間後でも借金の存在を知らなかったなど一定の要件を満たせば、その借金の請求が来た時から3ヶ月以内に相続放棄の手続きをとればいい、という裁判所の判決が出ています。
慌てずに弁護士等へ相談してください。
ただし、相続放棄がどんな場合でも守ってくれる訳ではありません。

(さらに…)

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保証人・・・安易になっていませんか?

政権交代に伴うニュースばかりに気をとられていますが、経済不況は益々深刻なようです。
毎年日本で行われている、東京モーターショーへの外国企業の出展が激減するという新聞記事を見ました。
日本の自動車市場・産業は、世界から常に注目されていたのですが、今や中国がその座に就いており、東京モーターショーなど見向きもされなくなってしまったのです。こうなると、さすがのトヨタも厳しい経営環境が続きそうで、中小零細企業は直接の下請けだけでなくその影響を受け続けることになります。
誰かの「保証人」になっていませんか?
その個人の「人柄」だけで「よく理由も聞かず」安易に保証人を引き受けていないでしょうか?
保証人になっている場合、相続にも大きな影響があるのです。

(さらに…)

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保険アレルギーありますか?

相続税や法人税の節税で、保険を活用することに嫌悪感を示す方はまだまだ大勢いらっしゃるようです。それこそ一昔前までは、保険商品の内容説明も程々に保険外交員(○○のおばちゃん)があの手この手を使って「契約をもぎ取る」というのが当たり前の時代でした。
このような経験則から「保険の提案」と聞くと、不快感を露にするアレルギー症状が出るわけです。
ですが、相続税対策として生命保険を利用するのは大変有効な手段です。最大のメリットは、法定相続人一人当たり500万円の死亡保険金の非課税枠があること。金融商品を運用するのもいいんですが、それらは丸々課税財産となります。その資金を相続税対策としての生命保険契約にまわしてみたらどうでしょう。保険の種類は終身保険を利用するのが一般的です。
既契約がある場合、「契約者=本人」、「被保険者=本人」、「受取人=相続人」が条件となりますので保険証券等で確認を。
終身保険の契約を検討しているようでしたら、なるべく早く契約を。年齢が高くなるにつれ支払保険料が高くなってしまいます。今では冒頭に書いたような「ごり押し契約」はないはずですので・・・
また、今多くの方々が保険契約の見直しをしているようですが、単に支払保険料を減らすことにばかり頭がいってはいないでしょうか。
保険種類や内容そのものをよく検討して見直すということが重要です。
保障内容がダブっているようなら、利回りの高い契約は残して解約したらどうでしょう。そのあたりの有利不利は保険会社がキチンと説明してくれるはず。・・・最近のテレビCM通りの「さわやかな」対応を期待し、保険アレルギーを解消しましょう。

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社長借入金どうしてます? 補足

前回までに「社長借入金=相続財産」の解消方法を2回に渡って説明させて頂きましたが、少し補足説明を。
まず、会社から返済されたお金は「家族に贈与したほうが無難である」と書いたのですが、「相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産は相続財産に加算される」ので、完全な節税対策とは言えません。
社長さんがまだ現役バリバリであれば、「相続発生」の可能性は低くなり有効ですが、「持病があったり健康状態に不安がある」といった社長さんであれば「相続発生」が早く訪れる可能性が高くなり、贈与する意味が薄れてきます。
また、返済額が贈与税の基礎控除を大きく超えてしまっている場合、その差額をどうするかといった問題もあると思います。あくまでもケースバイケースという認識が必要です。
あと、社長借入金の債権放棄ですが、自社が「債務超過」に陥っていて銀行から追加融資を受ける際に、銀行側から債権放棄をして債務超過を脱しなければ融資に応じられないと半ば強制的に債権放棄をさせられる可能性があります。この場合、債権放棄が最良の方法であるのかどうかの検討がおろそかにならないようにしなければなりません。貸し渋り、貸し剥し等はもう対岸の火事ではないという認識で、速やかに検討しておくことが必要です。
この経済不況の中、同族会社経営の皆さんのやるべきことは多岐にわたると思います。どうぞ、健康に留意して乗り切っていってください。

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社長借入金どうしてます?(2)

前回の「社長借入金=相続財産」解消の方法は、個人的に資金を持っている同族経営(家族経営)でないと、なかなか実行出来ません。多くの中小赤字会社では他の方策が急務となります。
(赤字が続いていて返済どころではない会社の場合)
1)社長の役員報酬を大幅減額し、社長借入金の返済に回す。
2)社長借入金の残高が「法人税」の繰越欠損金を下回っている場合債権放棄=債務免除をする。
3)社長借入金を資本金に振り替える。
というところが主な対策です。
1)の場合、会社から見た経費の削減、社長個人の所得税・住民税の軽減が図れる上、報酬の減額分をそっくりそのまま借入金の返済に充てれば、社長さんの手取りは同額のまま「借入金」が減少します。ただ法人税法では、役員報酬の改訂時期には制限があること、一度に減少していくわけでは無いことに注意しなくてはなりません。
2)の場合は、かなり注意が必要です。「社長借入金<繰越欠損金」という条件でなければ充分な効果は得られません。というのも、社長さんが会社に対する債権を放棄するので、会社は返済しなくて済む分「得をした=利益を得た」ということで「債務免除益」という利益を同額計上することになるからです。「社長借入金>繰越欠損金」で、その差額が大きくなればなるほど、本業が赤字であっても余分な法人税を支払う可能性が出てきます。
3)も、メリット・デメリット双方あります。これは読んでそのままの方法で、「新会社法」の施行以降手続きがし易くなったようです。ただ、「資本金の増加」=「会社の規模が大きくなった」とみなされ、法人住民税均等割額の増加や、外形標準課税が出てくるなど「新たな税負担」が発生してしまうのです。
なお、これらの方法を実施する場合は、必ず顧問税理士の先生に相談してください。税法全体からの検討をすることが必要となりますので、くれぐれも慎重に。
また、ここに挙げた対策は、わりと一般的な方法ですので既に実行済みでしたらご容赦ください。
色々と節税対策を言ってきましたが、一番重要な事は「会社を黒字経営にもっていくこと」「とにかく儲ける」。これに尽きると思います。

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社長借入金どうしてます?(1)

同族会社経営の社長さん、会社の貸借対照表に社長借入金(個人借入金)という勘定科目がありますか?
顧問税理士先生からお聞きかもしれませんが、その「社長借入金」は「相続財産」となります。
経済不況で資金繰りが厳しい中、何とか自前の資金で会社のやりくりをする。それ自体は間違いではありませんし、むしろ銀行から借りれば利息がかかる分、節約することが出来ます。
ただ、銀行から借りるように毎月返済をしなければならないわけではないので、どうしてもその残高が過大になっていき、手付かずのままとなるわけです。
こういった場合の「相続税の生前対策」ですが、その会社の状況によって「打つ手」は変わります。
(奥さん、子供も会社の取締役若しくは従業員である場合)
1)今後は社長さんの名前では貸付をしない
2)資金が必要なときは奥さん、子供が貸付ける。
3)奥さん、子供の資金に余裕があるときは多めに貸付ける。
4)余剰資金を会社が社長さんに返済する。
これを地道に行うわけです。この場合奥さん子供にそれほど金銭的余裕が無いときは、(4)のあとで、「110万円」の贈与税基礎控除を利用し、社長さんが奥さん子供に贈与すればどうでしょう。
また、金銭的余裕がある場合でも、「返済」を受けたとき贈与してしまったほうが無難です。
というのも、返済を受けたからには会社の帳簿上(社長借入金=相続財産)は消滅しますが、現に現金を受け取っていますので財産全体の額は理屈上同じなわけです。その分は遊興費に使ったことにする、という主張も出来ますが、金額が大きくなればなるほど信憑性は薄らいでしまいます。
なお、贈与の際には「贈与契約の書面」作成をお忘れなく。それと、実行されるときは顧問税理士の先生に良く相談してください。
但し、上記の方法を実践できる会社は、この不況下ではかなり恵まれた会社でしょう。銀行からの借入もあり、家族中からも既にある程度借入れている。このようなケースでの生前対策は、法人税とも関係してきますので次回ご説明します。

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